2008年10月14日 (火)

おはよう

朝の公園
並木下のベンチは露に濡れ人影はない

少し前までは同じベンチにこの時間、腰をかけてる人がいた
彼女はたぶん耳が遠いんだろうと思う
大音量でラジオを聴いていたから

その人に
「おはようございます」
と声を掛けるのが私の毎日の日課になっていた

彼女がこの挨拶に気づいて
返事を返してくれたらその日は吉
私より先に彼女から声を掛けてくれたら大吉

彼女がなにか他の事に気をとられていて
たとえば、ラジオのチューニング中だったり
お友達と話に夢中だったり
そんなときはドンマイな日

かってにそんなコトを決めて、朝の一時を楽しんでいた

身にしみるような寒い朝を迎えるようになったから
早朝の散歩に出かけてくる人は少なくなった
しばらく彼女に会えていない

日だまりができるような日がくれば
出会うこともあるかしら

ぽっかり空いたベンチを横目に
「今日もドンマイな日ね」
と通り過ぎた

2008年10月11日 (土)

秋の日のスケッチ

「蛙いらない?ねえ、か・え・る」
甲高い男の子の声が聞こえてきた公園脇の道
みれば幼稚園のスモックを着た一団体が歓声をあげている。
それぞれの肩から自分で工作したらしい虫かごがさげてある
ペットボトルや牛乳バックを工夫したものらしい。

遠足で虫捕りに来たのだろう。
膝の辺りまで草に埋まるようにして探し回っている

先ほどの声の主は誰だろうと
眺めまわしてみたけれど
子どもたちは忙しそうに動き回っているので
もう、近くにいるのかどうかもわからない

叢は、子供たちだけでも充分にぎやかであるのに
でもまだ、のどかに聞こえてくる虫の声

ペットボトルを高々と差し上げて
ガラガラと振っている子がいる
中に詰め込んであるのは虫ではなさそう
あれは、どんぐりかな

最初に聞こえてきた『かえる』の子はどうしたろう
せっかく捕まえたのに『かえる』はいらないと気がついたんだろう
もっと良いもの、(虫とかどんぐりとか)を手に入れるには
『かえる』を手放さなければならないのだけれど
せっかく捕まえた『かえる』か惜しくなって
だれか欲しがってくれる人がいないかと声をかけてみたものだろうか

たった一言聞こえた子供の声が気になって
しばらく考えていた
考えながら歩いているうちに公園からは離れてしまった
久しぶりに晴れた秋の日
日差しは強いけれど、風はもう冷たい

Ennsoku


2007年3月 6日 (火)

鈍痛

検査の結果は「胃炎」、昨日病院でそう聞いた時には
「たいしたこと無くてよかった」
と思えたのに、今日になると「胃炎だったのか」という診断が妙に重く感じ
「そういえば胸焼けしてたな」
「最近わき腹の辺りが痛くなったりしてたな」
など、それまで病気の症状とは思いもしなかったことを
胃炎と結びつけて考え込むようになりました。
そういった症状をを病院で告げなかったことも妙に気になり
心配しだすとわき腹の痛みが強くなってくるという始末です。
こういうのを病は気からというのでしょうか?

お昼ごはんを食べていてもお腹が痛いような気がするし
同僚と話をすると八つ当たりしてしまいそうなので散歩にでました。

青空と、ぽかぽかの春の陽気の気持ちよいこと
少し長く歩きたいところだったのですが時間が無かったので
公園の隅で軽く体操をして仕事に戻ることにしました。

空に向かってウーンと伸びをするといい気持ち・・・
っと突然わき道からおじさんがぬっと現れました。
杖を突きながら散歩のようでした。
病み上がりなのか少し足を引きずっていました。
「・・・・は」
おじさんが何かをいいました。

「体操を人に見られたらちょっとはずかしいかも」などと思っていたところでもあり
いきなり目の前に人が現れたのはびっくりしました。

「おい!聞こえないのかい!」
おじさんが振り向きざまにいいました
「こんちはっていったんだから、こんちはっていったらどうなんだ!」

そりゃ確かにね、挨拶をされたら挨拶を返すのが礼儀ってことは知ってますよ
でもね、初対面の人に、しかも突然目の前に降って沸いたように現れた人に
声をかけられたって、すぐに返事なんか出てくるものじゃありませんよ。
それを礼儀知らずみたいに叱られたので腹がたちました。

「それは気がつかなくて、すいませんでしたねえ」
私はできるだけオバサン口調になるように心がけながら
ゆっくりはっきり良く聞こえるように大声でそういいました。
そしてこれ見よがしに体操をつづけました。

横目でちらっと見るとおじさんは行ってしまったようです。
私はイラつく気持ちを抑えきれず
「なによ、返事を期待してたんだったら、もっとはっきりわかるように言えばいいじゃないの」
とちょっと小さめの声で言い放ちました。
そしてそのあとに続けて、呪いの言葉を投げつけました。

とたんにわき腹に鈍痛が走りました。

嗚呼・・・。厄日ってのはあるものです。

2006年8月 5日 (土)

Konちゃん

最近Konちゃんとお昼をいっしょに過ごすことが多い。
彼女の話はたいてい突拍子もない方向に流れていく
でもそんなところが好き。

彼女の言うことには
「契約のAさんって気配消しますよね!
この間コピー機が詰まって困ってたら、
背後からスーと現れて直してくれたんですよ。
その時近づいてくる気配が全く無かったんです。
そういう時って「どーしたの?」とか「壊したぁ?」とか言いながら近寄るでしょ
なのにAさんたら音もなくスーっと忍び寄って
いきなりコピー機の修理始めちゃったんですよ。
私が困ってるのに気がついて来てくれたんだもの
良い人なんだと思ったんですよ。

でもね、私、びっくりしたものだから
お礼言うの忘れちゃいました。

ケサも事務所に入るときねAさん、さりげなくドアを開けてくれたみたいなんです、
気遣いのある方なんだなって今になってみると思うんです。
その時はあまりにもさりげなかったんで、
開けてくれていたのに気が付かなかったんですよ。
だから今朝もお礼言えなくって・・・気分悪くしてませんかね?

ひょっとして、Aさんって忍者の一族でしょうか?
気配消すっていってもね、並の消し方じゃないんですよ
本当にいなくなっちゃうみたいなんです。」

そういえば、Aさんってそんな人ねぇ・・・;

Konちゃんは、Aさんのことを「存在感のない人」とか「言葉の足りない人」
って否定の言葉を使わずに話の種にしてしまうところがスゴイと思う。

それにしても「忍者の一族で気配を消す能力の持ち主」か・・・
さすがに私でもそういう方向に話が落ち着くとは思わなかったな;

2005年12月20日 (火)

お局様の怒り

「だってそんな言い方ってないでしょう!」
ウォーム・ビズを実践しているために凍りつくほど寒い事務室が熱くなるほどの騒ぎ。
振り返ってみると、例のお局様が口から炎を吐いている真っ最中。
「『機械が壊れた、動かない』って病棟で言うんです。だからスイッチは入ってるの?ってきいたんです。」
お局さまは大声で叫びます。
「機械の型番は何ですかってきいたんです。なのに『しらない!早く来い』で聞く耳持たないから・・・」
ここらあたりで私は振り返るのを止め机に向かいましたが、お局様の声はいやおうなく耳に飛び込んできます。
「で、行ってみたら案の定コンセント抜けてるの!だからそう言ったら『あらそう』だって!ありがとうの一言もないってどういうこと!言葉ってものは人と人との繋がりあいで、言い方ってものだってあるでしょう!言い方一つでお互いに気分良くも悪くもなるってもんでしょ!」

あらお局さま、たまにはいいこと言うのね。その言葉録音しとけばよかったわ。
だってお局さまは『ありがとう』という言葉を知らないんだって今まで思ってたのだもの。人を喜ばせる言葉があるってことも知ってたんだねぇ。びっくりしたわ。

そういえばお局様の良く使う言葉に「よきにはからってください」ってのがあるんだけど
今の世の中に「よきに計らえ」なんてお殿様みたいなこと言う人はめったにいないよねー。
でもまあ「よきにはからってください」ってすこし丁寧に言ったところに彼女なりの工夫があるのかな?

だぶん「よろしくお取り計らいください」の言い間違いじゃないかと思うけど、だれも指摘したことありません。
お局さまは怖いもの

2005年12月 8日 (木)

お局様のこと2

お局様は、たくさん指示を出します。
そんなにたくさん指示をだしたら、自分の仕事がなくなっちゃうんじゃないかと心配になるほど指示をだします。
でも大丈夫です。
彼女には一日のうちに話さなければならない噂話や自慢話が山ほどあるからです。
話が終わらないことには時間がきても家に帰れないのです。
頑張って話をしなければならないみたいです。
でも、うっかりお局様のお話に付き合ったりしてはいけません。
そんなことをしていたらいくら時間があったって仕事が終わりませんからね。

彼女がどうして採用されたのか、長い間謎だったのですが、この間彼女が自慢していた「お父様のこと」で謎がとけました。
彼女はウチの職場に来る前にもどこかに務めていたのだそうですが、毎日頑張って出勤していたのにも関わらず、ある日「もう来なくていいよ」と言われたんだそうです。
そこで彼女のお父様がウチの職場のエラい人に置いてくれるよう頼み込んだのだそうです。
彼女のお父様は有力者で財閥なんだそうです(田舎では)
私もそういうお父様が欲しいですね。無理ですけど。
彼女のお父様が財閥であるならば、彼女と働く私達に冬の特別ボーナスくれないかな・・・と思います。

2005年12月 7日 (水)

お局様のこと

ウチの職場にはお局様がいます。
私と同じ頃に採用されて、私よりも(たぶん)10歳以上は年上の女性。
でもとてもそんな年齢を感じさせません。
だって彼女は美人なのですもの。美人は年を取らないって本当ですよ。
艶やかな黒髪はいつもしっとりサラサラで、細面でお目目ぱっちり。
細身で服装のセンスもバッチリ。
なんでこんな美人が田舎にいるんでしょうと誰もが思うに違いありません。
彼女がおとなしく座っている時ならば

彼女はがに股で横歩きをするのです。
その歩き方だと足元に不安があるのか背中を丸めて足元を見ながら歩きます。
なので美人が台無しなのです。
何人かの勇気ある方が(私は含まれていません!)より美しく歩けるようにご本人に指摘したり、注意を促したりしたのですが、彼女は他人に指示されるのを徹底して好みません。
がに股の横歩きの猫背下向きのまま今に至っています。
もったいないです。
人間素直さに欠けていてはいけないと思います。
でも彼女は己を貫き通す意思の強い人なのです。
それだからお局職に付いてるんだろうなぁと思います。

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